不完全治癒とは何か

古傷治療の中に「不完全治癒」という師匠の言葉がでてきますが、自然治癒を持つ人間(生物)がなぜ不完全治癒の場を持つのかを私なりに考えて見ました。

まず、「不完全治癒」に対して「完全治癒」を考えてみますと、人間の軟部組織の完全治癒は炎症を伴います。炎症によって損傷した組織を賦活します。炎症は痛みを伴いますから移動能力を著しく疎外します。人間という生物は生命維持のため、炎症という部分の完全治癒より他の組織の支えによる移動能力の確保を選んだと思われます。古代では移動能力は捕獲や逃走による生命維持に必要不可欠でしたから。

第2に古傷は手足の末梢に(下腿、前腕)に出来やすいです。天地の気の旺盛な場所では、古傷の虚は気の入り口となり、気の不足した体表の補完作用をしていたと考えられます。現に自然が豊富な場所に生活する人は治りやすいという実感を持ちます。現代社会は自然の気(天地の気)が希薄だといえます。

第3には、人間の血流は内臓系と体壁系に分かれ、臍付近にあるスイッチで切り替えをしていると三木成夫は言っています。が、実は移動のための感覚中枢として発達した脳の血流は体壁系の部類に入ります。現代人は頭を使うことが多くなり、食べ過ぎによる胃腸への血流も過多となり、体壁系へ回る血流が減少しているのではないでしょうか。

これらのことから体壁系の不完全治癒が生じると思われます。

練馬・石神井公園駅 はり・きゅう・マッサージ 和矢治療院

東京都練馬区にあるはり・きゅう・マッサージの和矢治療院です。鍼灸による「古傷治療」もおこなっています。